図解・邪馬台国の謎を解く

サブタイトル 「地理と戦略」

から見えてきた古代の真相

 

「邪馬台国」とは・・・

中国の古文書「魏志倭人伝」に記された、

二世紀後半から三世紀にかけて実在した

「倭国」(昔、日本はそう呼ばれてた)

の首都。

 

著者の関裕二氏は本書で

2つの仮説を打ち立てた。

①2つの邪馬台国

②ヤマトのトヨによる山門(やまと)の卑弥呼殺し

 

すごく斬新なアイデアのようにおもえるが

昔からあるアイデアで

江戸時代の国学者、

本居宣長(もとい・のぶなが)

により既に提案されている。

それでは一つづつ見ていこう!

 

①2つの邪馬台国

邪馬台国の所在を巡って

最も有力な説として

「北九州説」と「畿内説」

があるのはご存知だろう。

著者の考察よれば

「邪馬台国」の「卑弥呼」が

いた時代、

北部九州は農業・交易で繁栄。

すでに大きな勢力を保持。

一方、機内では

何かのキッカケで

その地のポテンシャルが開花。

新興勢力として伸長してきた。

この2つの地域で

「邪馬台国」があったというのだ!

それぞれどういう勢力で

どういう関係だったのか?

見ていこう!

 

ⅰ北部九州

北部九州一帯は広大な筑紫平野を筆頭に

農業に適した土地を有し

博多湾には良港もあることから

朝鮮半島との交易も盛んであった。

この一帯が繁栄するのは

必然であった。

では、北部九州のどの辺に邪馬台国が

あったのか?

卑弥呼が治める以前は

「倭国大乱」であったと

「魏志倭人伝」に記録があるのだから

内乱や外圧に備えるため

「防御力」の視点から定めた場所が

邪馬台国に相応しい。

九州地図を広げて

軍師になったつもりで

俯瞰してみよう!

 

「軍事」という視点からみて

「ここしか考えられない!」

というポイントがある。

それは

福岡県南部の久留米市から

山門(やまと)郡にかけての地域

近くにある高良山を軍事要塞化

すれば筑紫平野ににらみを利かせられる、

久留米市付近に一大拠点を作れば

四方からの襲撃に対処できる。

かつて豊臣秀吉も

ここに九州征伐の陣をおいた。

 

畿内説

最有力候補地は奈良県

桜井市三輪山のふもとにある

「纒向(まきむく)遺跡」

がある一帯。

三世紀に入ってから一斉に周辺国

(吉備・出雲・北陸・東海・近江・中河内)

の首長層が集まって

ヤマトは建国されたらしい。

「マキムク」以前、

誰もがヤマトの地理上の優位性を

認識していた。だからこそ

「抜け駆けなし!」

という暗黙の了解があったのになぜ?

 

北九州の勢力は

ヤマト勢力が拡張するのを

恐れていた。

そこで

吉備を牽制し

出雲とは話し合い

「文明の利器」である鉄を

東へ流さない、経済封鎖をしたのだ!

こうすることで

瀬戸内海(吉備)と日本海(出雲)の

の動きも制限していた。

 

だがしかし

誰かがこの微妙なパワーバランスを

崩す働きをした。

その瞬間

周辺諸国の首長たちは

一斉にヤマトに飛びついたんだ。

 

パワーバランスを崩したのはだれか?

著者は

「アメノ匕ボコ」だと推定する。

彼は朝鮮半島からの渡来人とされる。

 

朝鮮半島からの輸入に頼っていた「鉄」

だったが、

「砂金製鉄」

という産業革命が起こったことにより

「鉄の国産化」が進んだ。

但馬(兵庫県)の豊岡で鉄を生産し

ヤマトへ流していたのが

「アメノ匕ボコ」だという。

 

②「ヤマトのトヨによる山門の卑弥呼殺し」

北部九州勢力や出雲による

経済海上封鎖により

「鉄」欠乏症に陥った畿内ヤマトだが

「アメノ匕ボコ」の協力により

勢力を伸長。

「神功皇后」は「アメノ匕ボコ」と手を組み

北九州へ報復の遠征に出たのだ!

 

「日本書紀」には神功皇后が

日本海側から北部九州へ乗り込み

この一帯を制圧したと記されている。

著者は神功皇后は

邪馬台国のトヨだと比定している。

 

この神功皇后の北部九州遠征に際し

山門の女酋たる卑弥呼は

起死回生の策として

「私がヤマト国の女王」と偽り

中国へ朝貢し

中国の「魏」から

「親魏倭王」

の称号をもらった。

周辺地域への影響力を

高めるためだったが

その努力むなしく

ヤマト政権に滅ぼされてしまった。

その後「親魏倭王」は

「トヨ」へと継承されていく。

 

以上で邪馬台国の謎が解けたのだろうか?

否、いくつか謎が残っていて

最大の謎が

「トヨはどこにきえたのか?」

親魏倭王の称号継承後のことが

さっぱり解らない。

 

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