著者のヤニスさんはギリシャの経済学者。
しかも
財政破綻をきたした
「ギリシャ危機」当時の
財務大臣を務めていた方なのです！
高校生の娘さんが理解できるように
わかりやすく資本主義を解き明かしてくれます。
欠陥のあるこのシステムを
みんなで把握し
より良い経済システムを考えていこうよ！
そういう著者の思いが
込められた書籍です。
①なぜこんなに格差があるのか？
ヤニスさんがこの本を書こう！
と決めたのは
娘さんからのある質問が
きっかけとなってます。
「パパ、
どうして世の中には
こんなに格差があるの？」
娘さんが住んでいるのはオーストラリア。
そこには先住民がいて
今は貧困に苦しんでいる。
原因は何か？
後から入植してきた
イギリス人が賢くて
先住民が愚かだから
そうなったのか？
そういうことではないんだ！
とヤニスさんは言っているんだ。
では、どういうことなの？
説明しよう！
すべては「余剰」から
はじまっている。
「ヨジョウ」？
なんですかそれは？
人類の歴史から見てみよう！
今から約８万年前に人類は
「言葉」を手に入れ
約１万２千年前には
「農耕」が始まった
そして人類史上最初の
「余剰」が生まれてから
経済が始まったんだ。
はい？
何を言っているのですか？
「余剰」とは
小麦や米など長期保存可能な
農作物のうち
備蓄として蓄える分を
言うんだ。
「余剰」を農作者各々が管理するのは
危険だということで
共同で管理することにしたんだ。
倉庫に
誰が何をどれくらい
預けたのか？
そのことを記したのが
「預かり証」だ。
倉庫を管理する人間が将来、
払い戻しを約束した債務と言える
「余剰」が増えるに連れ、
倉庫を管理・支配する人達は
その権力を高めるため
「官僚」や「軍隊」をもつようになった。
やがて「国家」を形成し
自分たちの支配に正当性を持たせるため
「宗教」を導入した。
国家として強い支配体制が
築かれ、
「この国は盤石だ！」
という信用を得られると
「預かり証」は
何とでも交換できる
「通貨」
として機能することになったんだ。
そこから経済が始まるんだ。
なるほど～
余剰から経済が始まったのはわかりました。
それで
先住民との格差はどうして
生まれたのですか？
そうだね～
「余剰」と「テクノロジー」
が大きな原因となってくる
話が遠回しになるんだけど
辛抱強く聞いてほしい。
火を使うことから始まる
「テクノロジー」は
一握りの権力者に力が集中することで
大いに発展した。
農耕から建築、造船、航海技術へと活用されることになった。
一方で「余剰」のせいで
細菌やウイルスも生まれた。
人々は家畜とともに集団で暮らすように
なったからだ。
それでも長い年月をかけ、何世代も経るうちに
耐性ができていった。
大航海時代を迎え
帝国主義の大国が植民地を
どんどん造って行ったが
その侵略の際には
先住民に対し細菌やウイルスを
「生物兵器」
として利用したんだ！
細菌やウイルスを生物兵器に
使ってたなんて・・・
ひどい事だと
おもいます。
なぜ
先住民達は一方的に
やられてしまったの？
全ては「余剰」に関係する。
農耕社会はユーラシア大陸の
西から東へと広がって行ったが
アフリカやアメリカ、オーストラリアでは
広まらなかった。
なぜなら
特にオーストラリアでは
狩猟・採集で十分な食料を獲得できたので
農耕は広まらず、余剰も生まなかった。
彼らはテクノロジーの発展よりも
歌や踊りといった文化を育んでいったんだ。
ユーラシアにおいて
農耕社会からの経済発展から
帝国主義の国家が次々と生まれた
さっきも言った通り
航海技術や生物兵器は
「余剰」が生み出した産物だ。
そして
大航海時代を迎え
はるばるオーストラリアまでたどり着いた。
そのイギリスに
アボリジニが敵うはずがない。
「余剰」から
航海技術や生物兵器など
テクノロジーを獲得した
帝国主義国家たちが
そうでない土地へ侵略したから
グローバルな格差が生まれたわけですね。
でも
例えば
その昔から今でも
帝国主義国家だったイギリス国内でも
格差があったと聞きますが
その格差はどうして
生まれたのですか？
いい質問だね！
だけど話がながくなったから
続きは次回ブログに
しましょう。
